理事 湯本とおる
最近{昭和の時代}が見直されてきたように思う。
もちろん、平成や令和の時代との比較の上であろうが。
隣近所は仲が良く、家庭ではやさしいお母さんに暖かいお父さん。会社では戦後の社会復興のための懸命の頑張り。人々は希望に輝いて美しかった。未曽有の経済成長を遂げて世界に冠たる日本を作り上げたのである。
歌謡曲も人情にあふれ、心に沁みる歌が多かったとしてリバイバルされたり、昭和の佇まいがレトロとしてなつかしがられてもいる。
しかしそんなに良い時代?に大ヒットした「男はつらいよ」シリーズはなぜ全国民に人気を博したのであろうか。
主人公の寅さんは、学歴はなく気ままな旅ガラスの行商人。ふいッとおいちゃんおばちゃんの住む下町に舞い戻っては、マドンナに片恋慕しては果たせず、傷をいやすために再び異郷の空の下へ・・・。このお決まりのワンパターンは、ついに主人公の役者の高齢化によって50作で終了となった。
主人公の人となりをふりかえってみると
・低学歴
・子供のころはやんちゃ坊主
・勤めには向かない
・同じところに長くいられない
・おせっかい焼き
・人好きで惚れっぽい
・計画性はない
これがざっと見た主人公の人となりである。
この時期、この主人公は「求められていた人材」ではなくむしろ正反対であった。人々は、こんな風来坊的な生活を日々望んでいながらも、高度経済成長期の経済組織の渦の中に巻き込まれ、窒息しそうになりながら盆暮れのこのワンパターンの映画に時を忘れて拍手を送り続けた。
どんどん新しいものを取り入れ作り出すことに疲れていたから、結果が見え見えワンパターンの物語に安らぎを見出したのである。
ホントは「昭和はつらかった!」のである。
昭和時代に日本は戦争しました。そして敗戦。多くの戦争体験者が、戦争に負けて良い時代が来たと感じたそうです。
長い昭和の間にはいくつかの時期に分ける必要があるかもしれません。
さて、そうは言っても、西暦で考えていたので、どこまで昭和だったのかわかっていません。
「男はつらいよ」シリーズは、きちんと観たことがありません。
一億総中流とか、駅弁大学とかの言葉は覚えています。
ずれたことを書きました。