テーマ: 日野市立病院の赤字問題
時間: 14時~16時 (13:30より受付、飲み物等はご持参ください)
場所: ゆうりかホールにて
参加費:会員300円 非会員500円
参加者:4名
この日の会話は、日野市立病院の赤字問題を軸に、自治体病院の役割・医療制度の構造・医師不足・診療報酬制度・地域医療の現実・病院経営の限界などを縦横に語った長い討議です。 途中には参加者の医療体験や裏話、医療現場の文化、地域医療の歴史、火葬場の逼迫など、周辺の社会問題も多く含まれています。
◆1. 日野市立病院の赤字問題
- 委員会で「累積赤字200億円」との指摘があったが、実際は累積ではなく毎年赤字が出るたびに市が補填してきた。
- 最近の決算では年間17億円の赤字が出ており、財政規模800億円の市にとって負担が大きい。
- 「有料で診療しているのに、なぜ税金で補填するのか」という市民の素朴な疑問が背景にある。
「去年かなんかの決算で17億とか…それを市役所が税金で補填した」
◆2. 公立病院の役割とジレンマ
- 公立病院は本来「儲けるための組織ではなく、市民のために必要なサービスを税金で提供する」存在。
- しかし病院は民間と競争せざるを得ず、行政サービスでありながら市場競争に晒される特殊な施設。
- 東京のように病院が多い地域で「市立病院を持つ必要があるのか」という議論もある。
◆3. 赤字の構造的理由
●儲からない診療科を抱えている
- 小児科、産婦人科、救急は「手間がかかるが収入が少ない」ため赤字になりやすい。
- しかし地域に不可欠であり、閉じることは市民が強く反対する。
「小児科はどんどん減ってる…市立病院としてはなくすわけにいかない」
●医師不足
- 医師は大学医局の支配下で配置されるため、市立病院は給与面で優秀な医師を確保しにくい。
- 慶應系・東大系の医局支配が強く、医師の移動は大学の意向に左右される。
- 高度医療を担う医師は高額報酬が必要だが、公立病院では給与体系上難しい。
- 脳神経外科・循環器内科など急性期の核となる診療科で欠員が発生し、救急受入数が減少。 → 患者数減少は収益に直結した。
- 国の制度改革が地域医療に負荷を与え、病院経営を悪化させている。
●診療報酬制度の制約
- 医療行為の価格は国が決めるため、良い医療をしても収入は増えない。
- 物価高騰や円安で経費が増えても、診療報酬は簡単に上がらない。
◆4. 病院経営の現場の実態
参加者の体験談から、現場の課題が生々しく語られる。
●大病院の非効率・質のばらつき
- 入院前の不必要な長期入院指示
- 看護師の技量差
- トイレ設備の設計不良を直すのに「100万円かかる」と言われる官僚的体質
- 多重説明による非効率な運用
●医療の裏話
- 医師の専門分化が進みすぎて「子どもの目にゴミが入っただけでも診られない医師がいる」
- 当直は過酷で、24時間勤務+翌日夕方まで勤務という実態
- 医療ミスの事例(輸血の血液型取り違え)とその補償の仕組み
- 医師の人間味ある失敗談(食中毒など)
◆5. 地域医療の歴史と構造
- たとえば、稲城市立病院など元々結核療養所を前身とする歴史がある。
日野市立病院は1961年(昭和36年)11月10日に開設された「日野町立国民健康保険病院」である。当初は一般病床と伝染病棟を設置してスタートした。 - 近隣には東海大学病院・立川の大病院などがあり、地域医療の役割分担が複雑。
- 病院誘致には自治体が土地提供や補助金を出すこともある。
◆6. 医療制度全体の問題
- 医師志望者は多いが、医師は都市部に偏在し地方は不足。
- 美容整形など自由診療に医師が流れる傾向。
- 高齢化で医療需要が増え、火葬場も逼迫しているという社会的背景。
◆7. 最終的な論点
- 赤字補填は政治判断であり、病院の存在価値をどう評価するかが本質。
- 市民が「病院が必要だ」と望む限り、赤字でも維持する選択はあり得る。
- しかし財政負担が増え続ければ、どこかで見直しが必要になる。
- 医療は単なる経済活動ではなく、地域の生命線であるため、単純な「黒字化」論では語れない。
◆まとめ(要点の一行集約)
- 日野市立病院の赤字は構造的で、診療科の性質・医師不足・診療報酬制度が原因。
- 公立病院は行政サービスであり、赤字補填は政治判断。
- 医療現場には非効率や制度的限界が多く、改善は容易ではない。
- 地域医療の歴史・医師の偏在・高齢化など、広い社会問題と密接に結びついている。
- 最終的には「市民が病院をどう位置づけるか」が核心である。

