理事 大塚喜久子
チリ出身の作家、ルイス=セプルベダの小説[カモメに飛ぶことを教えた猫]を知ってますか。私はカラスに飛ぶことを教えたおばさんの実話を紹介します。日本野鳥の会は、野鳥を拾ってはいけないと言いますが、我が家には、巣立ちに失敗したスズメ、ツバメ、シジュウカラ、メジロなどが、どう言う訳か寄って来るのです。
ある日、雨に濡れてうずくまっているカラスを助けてほしいと、友人が言ってきました。今までの中では一番の大物でした。ケガをしている様ではないのに、逃げない、羽ばたもしない。しばらく飼っている内に眼がおかしいと気がつき、鳥もみてくれる病院へ連れて行きました。先生には「カラスは病気~を持っているから直ぐ放しなさい」と言われました。そんな事言われても飛べないし、エサも探せない、猫にでも喰われろと言う事か?それでも諦めず、放すためには、飛べなければダメと確信。それから毎日カラスに飛ぶことを教えました。カラスはカンタと名付けました。家の中のどこで訓練できるか!風呂場しかありません。風呂場に新聞紙を敷き詰め、野球のバットに捕まらせ、上から下へ降ろす。毎日、毎日、何度も何度も繰り返した。少しずつ調子がわかってきたのか羽ばたくようになった。10日間ぐらいして外に出してみた。近くの低い木に止まったが、何時間も動かない。これじゃダメだと再び捕まえて、訓練を続けた。その間夜明けになると、エサをくれとカァーカァー鳴く。マンションなので、大塚さんちはカラスを飼っているの?と苦情。鳴く前にエサをあげて静かにしろと教えてた。体がデカイので糞も大変だった。1個がスズメやツバメの10倍ある感じ。1ヶ月ぐらいして、だいぶ体力も羽の力もついてきたので、再び外に出してみた。飛んだ、飛んだ、飛びました!マンションの屋上まで飛べました。嘘のようだけど、私の上を一回りして「カアー」と一声鳴いて飛び去って行きました。しばらくはカラスを観ると「カンタ!」「カンタか?」と呼んでいました。カンタがあれからどうしたか私にはわかりません。おしまい。
カラスは人になつかないとききました。
人がエサをやっても食べないというのです。
この話しのカラスは、エサをねだったり歩行訓練を繰り返したり。しかし、歩行や飛びかたの指導術はどうしてマスターされたのか。謎が深まりました。
きっと『カラスの恩返し』があるよ!
いいはなしですね。
病院の先生は治療してくれたのですか?
カラスは生ごみを漁りますね。牛舎の餌を盗みに来るのもいます。かなり頭が良いです。火のついたロウソクを食べようとして火事を起こすこともあります。だから私にとっては悪い奴なんです。